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胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍は消化性潰瘍と呼ばれ、胃あるいは十二指腸の粘膜が欠損した状態です。それより浅い粘膜の損傷はびらんといい、内視鏡検査でよく見られます。胃や十二指腸の粘膜は、胃から分泌される塩酸やペプシンといった消化に必要な因子から攻撃を受けています。粘膜はそれに対抗して粘液・アルカリの分泌、プロスタグランジンその他の因子による防御システムをそなえています。これらの攻撃と防御のバランスが崩れ、攻撃が優位になると潰瘍ができるといわれています。

1983年にオーストラリアで胃の中にピロリ菌が発見され、それが原因で胃・十二指腸潰瘍や胃がんができることが分かってきました。それまでは胃酸が強い環境で細菌は生存できないと考えられてきましたが、ピロリ菌は粘液内にもぐりこみ生存していました。また消炎鎮痛薬(NSAIDs非ステロイド系抗炎症薬)、ストレスも潰瘍の発症に関係しています。

潰瘍の症状

主に上腹部痛で胃潰瘍は食後に痛み、十二指腸潰瘍は空腹時に痛むといわれています。十二指腸潰瘍では右側の背中が痛むことがあり胆石の症状とわかりづらいこともあります。潰瘍から出血すると黒いコールタール状の便が出ることがよくあります。真っ赤な便は大腸や肛門からの出血のことが多いです。その際には動機、息切れ、倦怠感、意識障害など貧血の症状がみられることがあります。その他胸やけ、悪心、食欲不振などがみられます。

潰瘍の検査

内視鏡検査で潰瘍の有無はすぐにわかります。採血による貧血の有無も調べます。内視鏡検査で出血があればその場で止血処理を行います。がんなど悪性の病気が疑われたら組織検査を追加することもあります。通常は外来検査で済みますが、止血困難、著しい貧血の進行があれば入院治療や輸血が必要です。クリニックには入院設備がないので近隣の川越胃腸病院などに紹介・転送いたします。

治療

潰瘍の治療は内服や点滴治療が中心です。胃潰瘍なら8週間、十二指腸潰瘍なら6週間内服します。潰瘍が改善したかどうかは後日胃内視鏡検査で治療の程度を確認します。ピロリ菌が陽性なら除菌治療を行い、陰性なら再発予防のため維持療法で内服治療を継続します。昔のように外科治療が必要になることは極めて稀です。出血が止まらない、潰瘍が穿孔して腹膜炎を併発した、潰瘍を繰り返して胃の出口が狭くなり、食物が通過しづらい場合などは手術することがあります。ほとんどの方が治療できる病気ですが統計では日本で年間3000人が潰瘍で亡くなっています。

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